Tuesday, June 03, 2025 6:59 AM
モービルアイ、大手メーカーに自動運転向け技術提供
インテル傘下の自動運転システム開発大手モービルアイ(Mobileye、イスラエル)は、世界的な自動車メーカー大手が個人車両向けに提供するSAEレベル3自動運転システム(目離し/手放し運転が可能)の主要コンポーネントとして、同社の高性能ミリ波レーダー「Imaging Radar(イメージングレーダー)」が採用されたと発表した。
プレスリリースによると、このメーカーは数年にわたる徹底的な評価に基づいて採用を決めた。高速道路でのレベル3自動運転を実現するため、2028年からイメージングレーダーを採用する計画だという。
モービルアイが18年から開発を進めてきた4Dイメージングレーダーは、過酷な照明条件、環境条件、交通状況の下でも優れた認識能力を発揮し、カメラベースの認識技術を低コストで補完することでセンサーの冗長性を提供する。ロボタクシー(自動運転タクシー)から個人用の自動運転車(AV)まで、安全で拡張性のある自動運転システムの実現を目指して開発された。
従来の車載レーダーは、物体までの距離、水平面上の大まかな方向、相対速度を推定するが、イメージングレーダーはこれに「高さ」という新たな次元を加えて4D認識を実現する。モービルアイが独自に設計した高周波集積回路(RFIC)と、毎秒20フレーム、1500以上の仮想チャンネルの処理が可能な演算能力11TOPSの専用プロセサーで構成され、角度分解能0.5度未満、電力比マイナス40 dBcの低サイドローブ、100デシベル(dB)のダイナミックレンジといった業界最高水準の性能を提供する。
こうした技術により、近くに大型トラックやバスなどの大型車両がいる複雑な状況でも、遠くの小さな物体(ガードレール付近のタイヤなど)も正確に検知でき、高速走行時(時速130キロメートル以上)の安全性を大幅に高める。
歩行者や自転車などは315メートル(m)前から検知でき、230m先までの潜在的な危険も把握できるほか、従来のレーダーが不得意なトンネルや工事区間などでも優れた性能を発揮する。