Tuesday, September 16, 2025 7:16 AM
中国の技術、世界のEV開発を変える
中国の自動車業界は、米テスラに触発されてEV開発のコストや時間を削減できる高度なモジュール式プラットフォーム(標準化した部品を組み合わせて多様な製品を生産する手法)を開発し、今ではこうしたEV基盤を他社にライセンス販売している。この戦略は、1990年代に米半導体大手インテルが自社製部品の搭載を強調してパソコンの品質と優秀さを売り込んだ「Intel Inside(インテル入ってる)」戦略を想起させる。
◇「チャイナ・インサイド」
ロイターによると、中国の高級EVブランド、ジーカー(Zeekr)が2021年に「001」を発表した時、独アウディの幹部らは大きなショックを受けた。「001」は欧州風の美感を備えた長距離EVで、彼らは中国と競争するのならこうした技術が必要だと痛感したという。その後アウディは中国の消費者向けEVラインを強化するため、上海汽車(SAIC)から提供された電池、電動パワートレイン、インフォテインメントソフト、先進運転支援システム(ADAS)を用い、わずか1年6カ月で「アウディE5」スポーツバック(3万3000ドル)を開発。今月から中国の顧客に納車を始める。
ほかの自動車メーカーも、中国の知財を利用して新モデルの迅速な展開を図っている。トヨタとフォルクスワーゲン(VW)はそれぞれ、広州汽車(GAC)と小鵬汽車(シャオペン)の技術を使って中国専用モデルを共同開発する計画で、ルノーやフォードはさらに踏み込み、中国のEVプラットフォームを使った世界モデルの開発を模索している。
こうしたライセンス契約は、まだ小規模だが拡大している。世界の自動車メーカーにとっては中国の技術で開発が容易になり、新車を素早く市場投入できる一方、中国のメーカーにとっては国内の価格競争と海外での貿易摩擦の中で新しい収益源を得られる。上海のEV分解調査会社Autodatasのウィル・ワン氏は「非常に賢いウィンウィンの解決策だ」と評価する。