Friday, October 10, 2025 7:22 AM

電池部品のエンケム、テネシー工場の建設計画白紙に

 韓国系の電池部品会社エンケム(Enchem)は、1億5250万ドルを投じてテネシーに電解液製造工場を建設する計画を撤回した。

 テネシー・ルックアウトによると、同社は2023年、同州ブラウンズビルの「I-40アドバンテージ産業団地」に工場を建設する計画を発表。工場は190人の雇用を創出する予定だった。

 この場所は、フォードがSKオンと提携して新型電動ピックアップトラックやEV用電池を生産する予定の大規模拠点「ブルーオーバル・シティー」から約16マイルの距離にある。エンケムの施設は、EV電池に使われる電解液を生産し、米国におけるEVパートナー企業への供給とサポートを強化すると見られていた。

 計画の撤回は「慎重な検討と北米事業戦略の広範な見直しの結果」だといい、同社は「主に北米の主要顧客からの最近の需要の変化が理由」と説明している。

 EV市場ではプロジェクトの計画変更が続いており、フォードも「ブルーオーバル・シティー」での次世代ピックアップトラックの量産開始を28年まで延期すると発表している。ただし27年には同工場で試作車の生産を開始する予定。

 州のデータベースによれば、エンケムは23年に200万ドルの誘致助成金を受けており、ブラウンズビル=ヘイウッド郡経済開発公社はエンケムに提供する予定だった州のインセンティブの打ち切り手続きを進めているという。

 また、この敷地は州や産業団地の開発準備に助成金を提供してきたテネシー渓谷開発公社(TVA)との協議を経て、再び市場に出される予定。

 エンケムは敷地の初期整地を終えていたが、建設には着手していなかった。