Wednesday, November 05, 2025 6:20 AM

パワーコ、カナダ電池工場計画で主要建屋の建設開始

 フォルクスワーゲン(VW)の電池子会社パワーコ・カナダは、オンタリオ州セントトーマスで進めている大規模工場(ギガファクトリー)建設プロジェクトで、主要な建屋3棟の建設を開始した。

 エレクトライブによると、同社は2023年春、セントトーマスに北米初の電池工場(年間最大90GWhの生産能力)を建設すると発表。24年初めに起工し、大規模な造成工事を経て今回、主要建屋の着工に至った。これでカナダ最大規模となるEV電池工場の開発が本格的に始まった。3棟の面積は合計約7万9000平方メートル、生産開始は27年の予定。

 セントトーマス工場では、標準化されたVW独自規格の角形電池「ユニファイド・セル」を生産する。この電池は、化学組成を変えることで小型車から高級セダン、電動トラックまで多用途に対応できるのが特徴。

 パワーコは、カナダでの年間最大90GWh規模のユニファイド・セル生産は「強固な国内供給網を形成し、カナダを世界的なEV生産拠点としてさらに確立させる」と話している。建設地としてカナダを選んだ理由は、再生可能エネルギーによる低炭素排出の電池生産が可能であることや、連邦・州両方からの優遇措置などが挙げられる。

 関係者によると、セントトーマス工場は政府支援の厚さからパワーコの拠点の中でも優先度が高く、欧州のザルツギッター(ドイツ)やサグント(スペイン)工場(いずれも20GWh規模)よりも早く90GWhのフル稼働に到達すると見込まれ、カナダがVW向け電池の輸出拠点となる可能性も指摘されている。

 パワーコはすでに雇用活動を本格化させており、オンタリオ南西部で展開する大規模な人材募集を通じて応募数は現在100人を超えているという。