Friday, November 04, 2016 5:49 PM

安倍1強、野党押し切る 国民の懸念置き去り

 政府、与党が環太平洋連携協定(TPP)承認案と関連法案の採決を強行し、数の力で押し切った。山本有二農相の「冗談」発言に野党が猛反発する中、「安倍1強」政権はアベノミクスの中核となるTPPの早期発効を目指して審議を打ち切った。輸入食品の安全性は保たれるのか、国内農家の支援策は十分なのか。国民が抱いた懸念は、与野党議員の怒号の中で置き去りにされた。

 「安倍強行内閣だ」。4日の衆院TPP特別委員会。承認案採決の議事を進める塩谷立委員長の周囲を野党議員が取り囲み、「ルール違反だ」「国会に汚点を残すぞ」と猛抗議。民進党の今井雅人理事は「今まで私が見た中で一番ひどい強行採決だ。これは無効だ」と怒りを爆発させた。

 乱闘に近いような状況になるかもしれないとの予測は与党内にもあった。強権的な姿勢が映像で流れれば政権への批判が高まりかねない。妥協策として与党側は特別委採決を7日に延期する案を野党に打診し、ぎりぎりまで着地点を探ったが、農相辞任を条件として譲らない民進党とはなかなか折り合えない。(共同)