Wednesday, November 09, 2016 10:31 AM

日米同盟の弱体化警戒 首相、補佐官を来週派遣

 安倍政権は、大統領選に勝利した共和党のトランプ氏側との関係構築を急ぐ方針だ。トランプ氏が選挙期間中、在日米軍撤退論に言及したのを踏まえ「日米同盟が弱体化しかねない」(外務省幹部)と警戒する。アベノミクスの成長戦略で柱に掲げる環太平洋連携協定(TPP)の発効も不透明さを増す。安倍晋三首相は、河井克行首相補佐官を14〜18日の日程で米ワシントンに派遣し、次期米政権の関係者らと接触させる。

 首相は9日、トランプ氏への祝辞を発表。官邸で記者団に「普遍的価値で結ばれた同盟をさらに強固にしていきたい」と強調した。祝辞では中国の台頭や北朝鮮の核・ミサイル開発を念頭に「アジア太平洋地域の平和と繁栄を確保するために、日米両国で主導的役割を果たしていくことを心から楽しみにしている」とした。

 政権内には、オバマ大統領の外交を痛烈に批判してきたトランプ氏の勝利で「対日、対アジア政策が変わる可能性がある」(官邸筋)との懸念が強まっている。訪米する河井氏は官邸で首相と会談後、記者団に「日米同盟をさらに強固なものにしたいという首相の考えを伝える」と述べた。(共同)