Wednesday, November 09, 2016 10:31 AM

政治に失望「劇薬」選ぶ 「女性初」に高揚せず

 大統領選で、共和党トランプ氏が大方の予想に反して勝利をつかんだ。品格のない言動で指導者の資質を疑われながらも信任を得たことは、米社会にわれわれの想像を超えた既存政治への失望があることを示している。格差拡大に有効な手を打たない政治への怒りが「劇薬」に改革の望みを託したといえる。

 優勢とされた民主党のクリントン氏は、豊富な資金力と、オバマ大統領夫妻の全面支援を受けるなど組織力で圧倒したが、敗北した。候補として魅力に欠け、初の女性大統領誕生という夢に国民が高揚しなかった結果だ。

 米社会の分断は深い。「米国を再び偉大にする」と唱えるトランプ氏に共鳴した人々の多くは、華麗な政治経歴を持つクリントン氏にエスタブリッシュメント(既存の支配層)を重ねて敵視する。一方クリントン氏の支持者の間には排外主義的なトランプ氏への嫌悪感が強い。(共同)