Thursday, November 10, 2016 4:46 PM

シナリオ狂い「空騒ぎ」に 保護主義旋風を経済界警戒

 環太平洋連携協定(TPP)承認案は与党の採決強行で衆院を通過した。だが「トランプ・ショック」でTPP発効のシナリオは大きく狂い、はしごを外された与野党の攻防は「空騒ぎ」に終わる可能性すらある。安倍政権が通商戦略の再考を迫られるのは必至。米国発の保護主義旋風が強まるのではと経済界や農業関係者は身構えている。

 「米国の動向を見極めるべきだ。採決はやめよう」。10日の衆院本会議でTPP承認案の反対討論に立った民進党議員は、次期大統領のトランプ氏がTPP反対を訴えていることを挙げて再考を強く迫った。

 これに対し、与党はTPPを推進すべきだと反論。討論が終わり、採決直前に本会議場を後にする民進、自由、社民3党の議員に「逃げるのか」と罵声が飛ぶ騒然とした雰囲気の中、採決が始まると、あっさりと可決された。先の通常国会から地方公聴会なども含めて特別委員会で70時間を超える審議を続けてきた重要案件にしては、あっけない幕切れとなった。(共同)