Friday, November 11, 2016 4:42 PM

パリ協定の行方に暗雲 逆行ムード、日本に波及も

 地球温暖化対策の新枠組み「パリ協定」の行方に暗雲が垂れ込めている。協定からの脱退を唱え、化石燃料への回帰を掲げるトランプ氏が大統領選で勝利し、モロッコで開催中の気候変動枠組み条約第22回締約国会議(COP22)を沈痛な空気が覆う。日本を含む各国に逆行ムードが波及し、今後の交渉が暗礁に乗り上げる恐れもある。

 パリ協定が発効した祝福の中で7日に幕を開けたCOP22は暗転。11日までの事務レベル協議で2018年までに協定の「ルールブック」に合意する方向性が見えてきたが、スケジュール通りに進むかは不透明だ。15日から閣僚級会合が始まるが、温暖化被害を受ける発展途上国から「トランプ大統領」を懸念する声も上がりそうだ。

 米政府関係者は「新政権誕生までは政策は変わらない」と話すが、裏返せば「その後は白紙」。協定には批准国が4年間は脱退できない決まりがあるが、共和党が主導権を握る議会を使って協定の署名を取り消す戦術も予想される。オバマ大統領が打ち出した火力発電所の二酸化炭素(CO2)排出規制などの国内対策を撤回する可能性も。発展途上国や国連機関への資金拠出をやめて交渉の足を引っ張る懸念もある。(共同)