Monday, December 05, 2016 10:42 AM

共同経済活動、首相が提案 北方領土、5月日露会談で

 安倍晋三首相が5月の日露首脳会談で、北方領土での「共同経済活動」の検討開始をプーチン大統領に提案していたことが分かった。この場で首相が打ち出した領土交渉の「新たなアプローチ」の柱とみられる。日本国民が旅券や査証(ビザ)なしで北方四島に渡航できる「ビザなし交流」の対象について、経済関係者らへの拡大を検討していることも判明した。複数の日露関係筋が5日、明らかにした。

 共同経済活動を巡り、首相は11月下旬の記者会見で、ロシア側と協議しているかの言及を避けていた。これまで日本側は「ロシアの法令に従って実施すれば、ロシアの管轄権を認めることになる」と慎重だった。首相には、ロシア側が積極的な同構想に乗り出すことで、プーチン氏から領土問題での譲歩を引き出す狙いがありそうだ。

 ただ日本側は、日本の法的立場を害さないことが前提で、北方領土の主権を主張するロシア側との溝は埋まっていない。領土問題を巡る主張も平行線のままとみられ、今月15、16両日に山口県と東京で開催する首脳会談でどこまで一致点を見いだせるかが焦点だ。(共同)