Thursday, December 08, 2016 4:53 PM

がん治療の臨床研究進む 大隅さんの成果生かし

 ノーベル医学生理学賞を受賞する大隅良典・東京工業大栄誉教授(71)が切り開いたオートファジー(自食作用)の研究成果を生かして、ペンシルベニア大のチームががん治療の臨床研究を進めている。これまで約8年の研究で、500人以上の患者に通常の抗がん剤とともにオートファジーを妨げる薬を投与、大腸や膵臓、皮膚のがんなどの治療で良好な結果を得ているという。

 主任研究者のラビ・アマラバディ博士は「大隅さんのおかげで、新しいがん治療法が生まれつつある。他の病気にも応用できるはずだ」と賛辞を贈っている。

 オートファジーは、細胞内部の古くなったタンパク質を分解して再利用する仕組み。細胞が健康な状態を維持するのに重要な役割を担っている。チームは、この仕組みをがん細胞が積極的に利用して生き残りや増殖に利用していることを突き止めた。これを邪魔する薬を投与することで、抗がん剤の治療効果を上げる狙いだ。(共同)