Thursday, June 16, 2016 11:17 AM

「溶融使うな」と東電社長 官邸指示か、解明できず

 東京電力が福島第1原発事故当初、原子炉の核燃料が溶ける「炉心溶融」が起きていたのに「炉心損傷」と過小評価の説明をしていた問題で、同社が原因調査を依頼していた第三者検証委員会は16日、「当時の清水正孝社長が『炉心溶融という言葉を使うな』と社内に指示していた」との報告書を取りまとめ、東電に提出した。

 第三者委は、清水氏の指示の背景には、当時の首相官邸からの指示があったと推認されると認定。しかし、清水氏ら関係者に複数回ヒアリングしたが、官邸側の人物や具体的な指示内容など詳細は解明できなかったという。官邸側の関係者への調査は「権限がない」との理由で実施していない。

 事故当時、原子炉が最も深刻な事態にあるのかは国民が注視していた。事故を過小評価するような説明に経営トップが関与していたことが明らかになり、改めて姿勢が問われそうだ。(共同)