Friday, October 04, 2019 9:53 AM
「EVへの移行は苦難の道」〜アリックスパートナーズ幹部
自動車メーカーは現在、業界の衰退と闘う一方、ほとんど利益が期待できない自動運転と車両電動化に多額を投資するというつじつまの合わないことをしていると、コンサルティング大手アリックスパートナーズの幹部が指摘した。
オートモーティブ・ニュースによると、アリックスのマネジングディレクター、マーク・ウェイクフィールド氏は「この苦境でも投資を続ける能力がないと向こう側には出られず、悪循環を切り抜けられない」と、悲観的な予想を述べた。
自動車メーカーは、車の自動化、電動化に今後4〜6年間で計3000億ドル以上を投資する。これを新車販売の減少、損益分岐点の継続的上昇、収益性の低下が同時進行する中で行わなければならないというのが、ウェイクフィールド氏の見方だ。
同氏によると、自動運転技術への投資額は2025年には850億ドルに到達する。一方、今後5年間で2250億ドルが電化に投じられるが、少なくとも近い将来、それらの投資は増益にはつながらない。
EVの売れ行きは鈍く、22年までのEV1モデル当たりの年間販売はわずか1万4000台という状態が続くと見込まれる。これはメーカーが予想する従来の化石燃料のライトビークル車の販売台数とは大きくかけ離れている。ウェイクフィールド氏は「こんな台数しか売れない車に1社でも投資することはまれなのだが、EVへの投資額は積み重なり、しかも第1世代と第2世代からは見返りが生まれない。これはまさに試練だ」と述べた。
アリックスパートナーズによると、投資利益率は直近のグレート・リセッション水準まで落ち込んでおり、米州では1.5%、中国ではマイナスに突入している。