Friday, November 15, 2019 9:04 AM
リチウム業界が不況〜EV時代も5%の供給過剰
リチウム業界は、電気自動車(EV)時代になって初めての大きな低迷期に入っている。
ロイター通信によると、米アルベマール(Albemarle、ノースカロライナ州))や中国・天斉リチウム(Tianqi Lithium)といった大手サプライヤーは、自動車メーカーが必要とする以上のリチウム製品を生産しており、市場調査コナコード(Canaccord)のデータでは現在、リチウムは世界的に約5%の供給過多となっている。
一方、世界最大のEV市場である中国では、政府支援の縮小を受け、9月にはEV販売台数が前年同月比で約30%減少し、3カ月連続のマイナスを記録。ベンチマーク・ミネラル・インテリジェンスの業界データによると、リチウムの世界平均価格は2018年初めからこれまでに50%以上低下しており、アルベマールのルーク・キサムCEOは「現在の市況は厳しい」と話している。
しかし、将来の見通しは明るく、ベンチマークのサイモン・ムーア氏は、市場でだぶついているリチウムの多くはストップウォッチといった比較的小型の消費者電子製品に使われる工業グレードだと指摘する。EVバッテリーに使われるリチウムの等級は電池グレードで、多くの自動車メーカーは高純度の基準を設定している。ムーア氏によると、良質な電池グレードのリチウム生産量のほとんどは24年まで確定済みだ。
ただ、天候や政情不安などリチウム業界を取り巻く問題は多く、将来的に自動車メーカーが必要とする量のリチウムが十分供給されるのかという不安は高まっている。業界アナリストのジョー・ラウリー氏は「電池グレードの化学品の将来の供給は非常に不確定だ」と話し、業界が25年までに生産量を今の倍以上の80万トンに拡大したいと望んでいることに疑問を投げかけている。
アナリストのクリス・ベリー氏も、将来各社が提供するEVモデルの人気が高ければ、最終的にリチウムの確保に何十億ドルもの投資が必要になると指摘した。
https://www.autonews.com/suppliers/lithium-producers-hit-first-big-downturn-ev-era