Friday, February 28, 2020 9:38 AM

ダイムラー、UBQと提携〜ごみから作った樹脂を部品に

 ダイムラーは、環境保護技術を開発するイスラエルのUBQマテリアルズと、技術の開発および試験導入で提携した。環境に優しいUBQの材料を自動車部品に使う方法を探す。

 グリーンカー・コングレスによると、ダイムラーは供給チェーン全体の二酸化炭素(CO2)排出量を相殺するため、取り引きする部品メーカーにもUBQの利用を呼びかける。

 UBQは、分別されていないごみを再生可能な熱可塑性樹脂の代替品に変える特許技術を開発しており、樹脂は日用品の材料として使える。UBQと提携する自動車メーカーはダイムラーが初めてで、ダイムラーは現在、UBQの材料をさまざまな自動車部品生産に組み込めるかどうか試験しており、さらに実験と調査を重ねて実際に車両に組み込んで市場に出すかどうか判断する予定。今のところ結果は良好だという。

 UBQは、熱可塑性樹脂材を生産するため、さまざまなごみを最も基本的な天然成分(リグニン、セルロース、糖、繊維)に分解し、エネルギー効率の高いクローズドループ工程によって再生可能な新しい複合材を作っている。この工程は水を使わず、廃水を出さず、有害な気体や残留物質を放出しない。

 UBQの科学者が8年かけて開発した複合材は、シッピングカート、パイプ、ごみ箱、自動車部品などさまざまなモノの原材料として使える。ごみの投棄場からごみと有害なガスを減らし、UBQの素材をプラスチック製品に使えば、製造業者はCO2排出量を大幅に削減できる。

 UBQの素材は、環境影響評価の国際組織クアンティス(Quantis)が2019年に終了したライフサイクル分析の結果、市場で最も環境に優しい熱可塑性樹脂材とみなされている。

 UBQはイスラエル南部に実験施設を持っており、樹脂の年間生産能力は5000トン。同社製の樹脂はすでにプラスチック業界で使われている。今後国際展開を予定しており、2020年内には米国で本格的な施設を開設する計画だ。