Tuesday, February 23, 2021 9:09 AM
クアンタムスケイプ、全固体電池の技術的課題を解決
独フォルクスワーゲン(VW)グループが支援する新興EVバッテリー会社クアンタムスケイプ(QuantumScape、カリフォルニア州サンノゼ)はこのほど、全固体電池の開発における重要な技術的ハードルを乗り越えたと発表した。これを受けて17日の同社の株価が31%急騰した。
ブルームバーグ通信によると、クアンタムスケイプはEV用の固体リチウム金属電池の開発に取り組んでおり、このたび技術を実用化する上で大きな課題だった多層電池セルの作成に成功した。
ジャグディープ・シンCEOは、同社の2021年第1四半期財務報告書に添付した投資家向け書簡で「まだやるべきことはたくさんあり、セル層を増やせば新しい課題が出てくる可能性もあるが、今回の結果は非常に重要で、今年の早い時期に実現できたことは喜ばしい」と述べた。
全固体電池は、現在のリチウムイオン電池に代わるより安全で安い電源を自動車メーカーに提供し、EVの普及を劇的に加速させる可能性を秘めた技術革新といわれている。
クアンタムスケイプは全固体電池の開発に取り組む企業の1つだが、商業化のためには3つの大きな問題と向き合う必要がある。まず、制御された実験室で扱う物より大きく多層の電池を製造しなければならない。現在は4層しかないが、商用バージョンでは最大12層が必要になる。また、セラミックセパレーター(絶縁体)といった主要コンポーネントの信頼できる製造ラインを開発する必要がある。さらに、これらすべての要素を工場に集約しなければならず、量産には設備と機械に数十億ドルのコストがかかる可能性がある。
クアンタムスケイプは20年11月、特別買収目的会社(SPAC)ケンジントン・キャピタル・アクイジションとの合併を通じてニューヨーク証券取引所(NYSE)に上場している。
https://www.autonews.com/suppliers/vw-backed-battery-startup-quantumscape-rises-report-technical-breakthrough