Friday, March 05, 2021 8:40 AM

連邦政府、半導体の国内製造支援を約束

 深刻な半導体不足が続く中、バイデン大統領は異例の素早さで国内の半導体製造に対する370億ドルの連邦補助金支援を約束した。

■対中政策として議会も団結

 ロイター通信によると、半導体業界はクアルコムやエヌビディアといった米大手が支配しているが、半導体部品(チップ)の製造業務は海外の工場に依存している。このため業界幹部や政府当局者は以前から、高価なチップを生産する工場がじわじわと台湾や韓国に移ることを懸念していた。

 さらに2020年は対中貿易摩擦が激化し、先進的なチップを外国の工場に依存することは国家安全保障上のリスクになると案じた議会は、軍事費法案の一部としてチップ製造への補助金を承認したが、財源は確保されていなかった。

 そんな時に自動車用チップの供給不足が起きた。これでフォードは21年1-3月期の生産台数が5分の1減る可能性があり、GMも北米生産の削減を発表している。自動車各社はすぐに、半導体業界とともにチップ製造への助成金支給を政府に強く要請。チャック・シューマー上院多数党院内総務と大統領は資金調達に尽力することを約束した。業界擁護派の議員らは現在、シューマー氏が今春上院に提出する対中法案にこれを組み込もうとしている。

 戦略国際問題研究所(CSIS)のジム・ルイス上級研究員によると、自動車工場の操業休止に関する報道がこれまで警告を無視してきた世論に響き、すでに約束したインフラ法案が今年実現しないことを心配していた議員らは迅速な対応を決意した。「だれも中国に対して弱腰と見られたくないし、地元の自動車関連労働者に『助けられない』とは言えない。その瞬間に足並みがそろった」