Tuesday, June 28, 2022 7:52 AM
ユミコア、出光と提携〜固体電池用正極材の開発で
ベルギーの非鉄金属技術大手ユミコア(Umicore)と出光興産は、固体電池用のカソライト材料を共同開発することで合意した。カソライトは、正極材(カソード)活物質(CAM)と固体電解質を融合した次世代固体電池の高性能材料で、電池のエネルギー密度、急速充電能力、安全性、寿命を向上させる。
出光のプレスリリースによると、共同開発ではユミコアがリチウムイオン電池のCAMに関する専門知識を、出光が固体電解質に関する専門知識を提供する。
ユミコアは、ハイブリッド車(HV)や電気自動車(EV)に必要なリチウムイオン電池に使われる正極材の製造大手で、現在、固体CAMの化学物質に関する複数の特許を保有する。一方、出光は硫化リチウムを原料とする硫化固体電解質の製造に関する特許を保有している。
出光の中本肇・先進マテリアルカンパニープレジデントは「出光は、20年以上の経験を基に硫化固体電解質の技術を開発し、関連特許を多数保有している。固体電解質は、ASSB(全固体電池)を通じて電化社会のキー材料として貢献することができ、ユミコアと出光の共同開発は、この分野での活動を加速する上で重要な役割を果たす」と話している。
次世代固体電池は、エネルギー密度や充電速度など潜在的な利点があるため、自動車分野の主要企業はここ数年、この技術への投資を拡大している。メルセデス・ベンツとステランティスは2021年11月、それぞれ固体電池開発のファクトリアル・エナジー(Factorial Energy、マサチューセッツ州)に出資した。BMWはソリッド・パワー(Solid Power、コロラド州)と提携し、ユミコアもソリッド・パワーに出資している。
また、ドイツの化学大手BASFは21年11月、CAM開発で協力するため中国の電池メーカー蜂巣能源科技(SVOLT)と提携した。
https://www.idemitsu.com/jp/news/2022/220623_2.html