Tuesday, September 13, 2022 6:53 AM

アイオネティック、EV用電池パックの設計プラットフォーム発表

 電気自動車(EV)の電池パック技術を専門とする英国の新興企業アイオネティック(IONETIC)は、新しいEVを市場に投入する自動車メーカーの開発コストと時間の削減につながるEV電池パック・デザイン・プラットフォームを発表した。

 グリーンカー・コングレスによると、高性能で安全な電池パックの製造は多くの自動車メーカーにとってコストと時間がかかり、完全なカスタム設計はコストが高すぎたり、既製の電池パック・ソリューションはエネルギー密度が低く最適でなかったりする問題があって、特に独自の要件を持つ少量生産の自動車メーカーにとっては難しかった。

 アイオネティックは、電池パック開発を短期間で進められるよう、コストとカスタマイズ性を効率的に融合させてこうした問題を克服。同社のソフトウェアベースのプラットフォームは、既存のソリューションと比較してエネルギー密度を30%高め、パックの容積利用率を最大120%改善している。

 既存の市販電池パックの多くはエネルギー密度が130〜160Wh/kgで、テスラの量産型EV「モデル3」はモジュールのエネルギー密度が197Wh/kg、パックのエネルギー密度は156Wh/kg。多くの限定市場用自動車メーカーが使っている日産「リーフ」のモジュールは191Wh/kgで、パックは132Wh/kgだ。これに対しアイオネティックのモジュールのエネルギー密度は226Wh/kgで、パックは構造がテスラに最も近く、180Wh/kg以上を目標にしている。これは日産「リーフ」と比べ36%の改善になる。

 また、アイオネティックでは電池パックの設計が数日でできるため、自動車メーカーにとっては要件の設定から量産までのコストを90%以上削減できる。

 アイオネティックは2023年、英国に初の電池製造施設を開設する予定。これで自社設計電池パックのパイロット生産ができるようになり、コンセプトの立案、プロトタイプの作製から認証、生産まで一貫した電池ソリューションを提供する英国で唯一の電池パック開発会社になる。