Tuesday, February 14, 2023 5:56 AM

EPFLとジェイテクト、協調ステアリング技術を開発

 スイス連邦工科大学ローザンヌ校(EPFL)と日本のステアリングシステム大手ジェイテクト(JTEKT、愛知県)は、輸送の安全、効率、快適性の向上を目指して、自動運転車(AV)とドライバーの協調を促進する自動運転システムを開発した。

 ジェイテクトのプレスリリースによると、自動運転技術はすでに多くの量産車に搭載され、車線維持といったステアリング(操舵)支援を実現しているが、自動運転システムに過度に依存することは、ドライバーの無関与によって事故の可能性を高める危険性もある。

 EPFLスクール・オブ・エンジニアリング応用機械設計研究室のユルグ・シフマン教授は「現在の市販車は手動運転または自動運転のどちらかであり、車の制御を真に共有するための明確な方法はない。これではドライバーがシステムに依存しすぎる傾向にあり危険」と指摘する。大学チームはジェイテクトと共同で、人間とロボットの共同作業を数種類取り入れたハプティクス(触覚)技術ベースの自動運転システムを設計し、実走行で評価することに成功した。この手法は、自動運転の安全性だけでなく、社会的な受容性も高められると見込まれる。

 共同研究では、センサー入力をカメラに大きく依存する既存の自動運転システムとは異なり、ステアリングコラムからの情報を取り入れることでより包括的な解決策を実現した。さらに、通常オンかオフしかない自動運転システムとは対照的に、ドライバーと自動運転との継続的な協調を支援する。

 協調運転システムは、ドライバーが運転を引き受けている時も、道路状況の変化に応じていくつかのインタラクションモードを調整する。衝突の危険が突然発生した場合、事故回避のために車が協調モードから対抗モードへと移行したりする。さらに、ドライバーがハンドルを切るなどの操作で介入した場合、それをオーバーライド(自動制御の解除)とみなしてシステムをオフにするのではなく、同じ制御フレームの中でいつでも車の進路を再計算する「インクルージョン」機能を搭載している。

 ジェイテクトはこれらの研究成果を、2022年10月に発表したステアリング制御システム「ペアドライバー(Pairdriver)」で活用する予定。

https://www.jtekt.co.jp/news/2023/002883.html