Wednesday, February 15, 2023 6:02 AM

GM、国内でのEV生産拡大に慎重姿勢

 GMは1月31日の四半期決算発表で、EV生産拡大を慎重に進める方針を示した。メアリー・バーラCEOは、テスラやフォードよりもゆっくりとしたペースで北米でのEV生産に取り組むとしている。

GMは、内燃機関の大型ピックアップトラックやSUVから利益を獲得し続ける方が長期的にはより収益性が高いことを重視している。ロイターが報じた。

 米調査会社オートフォーキャスト・ソリューションズ(AFS)によると、GMの米国、カナダ、メキシコの工場でのEV生産は23年がわずか17万台で、24年が28万5000台。25年も50万台以下で、実際の生産能力100万台の約半分にとどまる見通しだ。

 AFSのサム・フィオラニ副社長は、「GMは、EVの将来性に言及すれば、米金融業界からハイテク企業と見なされ、株価の支えになることは理解している。しかし経営の柱はV8エンジンを積んだ大型ピックアップトラックとSUVで、利益の大部分を生み続けている」と述べた。

 AFSによるとGMが今年内に発売する新型EVは4車種で、このうちピックアップトラックは1車種、SUVは3車種。24年にはさらにEV4車種を発売するが、大半は25年まで生産台数が比較的少ない水準にとどまる。

 GMは25年までに北米で年100万台のEVを製造するのに必要なバッテリー材料を全て確保したと説明した。テスラは年200万台の生産を支えるために36億ドルを投じてネバダ州のバッテリー工場を拡張すると発表した。

 GMは韓国のバッテリー大手LGエナジー・ソリューションズと共同で米国に3カ所のバッテリー工場を建設中だが、4カ所目の国内バッテリー工場の計画については言及を避け、消極的な姿勢を見せた。

 対照的にフォードはSUV型EV「マスタング・マッハE」の価格を最大8%引き下げる計画を発表し、23年末までに年60万台のEVを販売する目標を改めて示した。マッハEの北米での生産台数は、23年中に13万台まで引き上げる。今年秋までには、電動ピックアップトラック「F-150ライトニング」の生産能力を年15万台に拡大する。

 短期的にみれば、GMはEV生産の拡大を慎重に進める戦略によってテスラが仕掛けた価格競争を回避できる可能性がある。投資家は31日にGMの経営方針と強気の業績予想を支持したもようで、GMの株価は7%余り上昇した。GMは今年、値引きを回避するために内燃機関式とEVの全車両の在庫を新型コロナのパンデミック前よりもはるかに引き締めるよう努める。米国のディーラー在庫を50-60日分とし、19年の平時より20-30日分減らす。

 EV式ハマーSUVの生産は、始まったばかりだが、9万台の予約が入っており、来年にかけて完売するという。