Friday, February 17, 2023 5:46 AM

VW、北米で電動小型SUV生産を検討〜電池工場はオンタリオか

 VWは、北米で生産するEVモデルの追加と電池の生産拠点のカナダ・オンタリオ州設置を検討している。

 エレクトライブによると、独経済紙ハンデルスブラットは、社内関係者の情報として「VWは北米で生産するEVを一つ増やす。これは『ID.4』より小さなコンパクトSUVになる」と報じた。生産は20年代半ばに始まる見込みで、ID.4と同じくチャタヌーガ工場(テネシー州)かメキシコプエブラ州で生産される。どのプラットフォーム(車台)を使うかには言及していないが、改良型『MEB+』以外になるとは考えにくく、すでにID.4生産でMEBと互換性のある設備が稼動しているチャタヌーガの可能性が高いと見られている。米国の方がカナダに近いこともサプライチェーン(部品供給網)を考えると重要になる。

 VWの電池事業部門パワーコ(PowerCo)は、22年12月から始めたカナダ電池工場の用地探しでオンタリオ州を候補に挙げている。同州のロビー登録では、23年1月からVWグループに関係して不動産コンサルタント会社や法律事務所2社など5件のエントリーがある。

 グループのオリバー・ブルーメCEOもこの件に関してカナダの各省庁と交流を求めたようでロビイストとして記載されている。目的は、文字通りオンタリオ州における「生産拠点の可能性調査」で、同州政府から投資やその他のインセンティブ的貢献を通じた事業支援の申し出もある。ただ、VW広報によると最終的な決定は下されていない。

 オンタリオ州は、パワーコの電池工場としては理にかなった立地だ。電池材料で提携するベルギーの非鉄金属大手ユミコア(Umicore)は、EV用電池の正極材料と前駆体材料を量産する北米初の工場建設を同州で計画している。22年8月には、当時のVWのヘルベルト・ディースCEOとカナダ政府が、電池のサプライチェーンと原材料のリスクヘッジに関する覚書に署名している。