Thursday, November 02, 2023 7:08 AM

EV移行で自動車組立工場の稼働率低下〜調査会社が予想

 米国にある自動車組立工場は、電気自動車(EV)の生産拡大に伴い、今後数年間で稼働率が低下する可能性が高いという予想を、市場調査グローバルデータが発表した。

 オートモーティブ・ニュースによると、グローバルデータは最近、デトロイトで開催した自動車業界の見通し説明会で「メーカーの設備稼働率は平均66%と最適な水準の80〜85%を大きく下回っており、全米自動車労働組合(UAW)のストライキが深刻化すればさらに低下する可能性がある」と指摘。さらに、EV需要の成熟に伴い、自動車メーカーはEVとガソリン車の両方を造れる十分な生産力が必要になるといい「この危険回避策によって恐らく今後5年間は非効率的な設備稼働水準が続き、コスト構造を悪化させ、業界は新たな課題を抱えることになる」との見方を示した。

 自動車業界の設備稼働率は、過去数年間は新型コロナウイルス問題と半導体不足の影響を受けたが、生産が安定していた2018年は81%に達していた。

 メーカー各社は現在、収益性の高い内燃エンジン(ICE)車と新しいEVラインアップの間で生産のバランスを取りたいと考えている。EVは、テスラの値下げ攻勢もあって、より入手しやすく価格も手頃になっており、コックス・オートモーティブによると、米ライトビークル販売に占めるEVの比率は、23年4〜6月期の7.2%から7〜9月期は7.9%に上昇した。

 しかし、EV販売は予想通りには伸びていない。エドマンズによると、メルセデス・ベンツの電動モデル「EQ」シリーズは米国で販売に要する日数が9月に平均82日と全体平均の2倍に上った。またGMは、変化するEV需要に対応するため、デトロイト近郊の工場での電動ピックアップトラック生産を1年遅らせている。

 新興のEV各社は、需要が追いつくまで生産能力を有効活用するため、統合を始める可能性がある。EV生産が米国より10年進んでいる中国では、すでにEVメーカーの統合が始まっている。中国のEV市場は比亜迪(BYD)とテスラが半分近くを占め、新参メーカーにも伝統的メーカーにも魅力が薄れているが、既存のブランドは提携で対応しており、フォルクスワーゲン(VW)は小鵬汽車(シャオペン)とEVの共同開発契約を結び、アウディも上海汽車集団(SAIC)と同様の契約を結んでいる。