Tuesday, November 07, 2023 6:10 AM

サプライチェーン技術分野のVC投資が急減

 ベンチャーキャピタル(VC)は以前、サプライチェーン(供給網)技術関連の新興企業を高く評価し巨額の資金援助を行なっていたが、2023年は投資を引き締めている。このため新興各社はコストや人員の削減を強いられ、生き残るための方法を模索している。

■市場悪化で資金が枯渇

 ウォールストリート・ジャーナルによると、新型コロナウイルスの大流行(パンデミック)をうけてあらゆる業界のサプライチェーンが寸断され、問題の解決に向けたさまざまな技術を売り込む企業が注目された21年当時、サプライチェーン技術分野へのVC投資は620億ドルを超えていた。ところが投資家向けウェブサイトのピッチブックによると、23年上半期は404件で計57億ドルと前年同期(727件で計227億ドル)から大幅に減少している。

 デジタル貨物輸送の新興企業コンボイ(Convoy)は、市場の悪化で新たな投資が受けられず経営が行き詰まり、時価総額38億ドルを達成してからわずか1年半後の10月に事業の閉鎖を決めた。国際フレイトフォワーダー(貨物運送取扱業者)のフレックスポート、貨物追跡技術のプロジェクト44、貨物と輸送業者のマッチングを専門とするトランスフィックスといった他の高評価企業も、一連の大型資金調達ラウンドで積み上げた蓄えが輸送需要の悪化で減りつつあり、それぞれ過去1年間に人員削減を実施している。

 通常、投資家は7年目あたりで出口戦略を考えるといわれ、その時期が近づく中で一部の企業は貨物市場の低迷と資金不足で板挟みの状態にある。