Thursday, November 16, 2023 5:56 AM
セラニーズ、EV性能を向上させる新しいポリアミドを発売
高性能樹脂大手のセラニーズ(Celanese、テキサス州)は、電気自動車(EV)のパワートレイン部品や電池メーカー向けに、2種類の新しいポリアミド(PA)を発表した。
プラスティクス・トゥデイによると、一つは難燃性の「Frianyl PA Wシリーズ」で、EV電池用の大型で肉厚の部品の製造を可能にする。この材料によってメーカーは安全性を向上させ、斬新な新設計を導入し、製造効率を高めることができるという。
想定される用途としては、電池モジュールのハウジング(容器)、e-box(高電圧電池システムの監視、起動、停止を担当するサブユニット)のハウジングやカバーなど。このPAは、1.5ミリメートル(mm)の厚みでV-0の難燃性を達成し、優れた流動特性を兼ね備えている。ガラス繊維を30%強化した標準的なPA 66グレードと比較すると、かかる圧力によって射出成形金型内での流動性が10〜20%向上している。流動性が改善すると、メーカーは新しい設計を検討でき、加工中により容易に金型に充填できることを意味するため、サイクルタイムの短縮につながる可能性がある。
この素材は全ての一般的なレーザーマーキング工程と互換性がある。さらに、125℃で1000時間エージングした後でも、優れた比較トラッキング指数(CTI)を示す。この素材で製造された部品は長期的な色安定性も高く、125℃で測定した場合、目視では変化は見られず、カラーラボで測定してもわずかな変化しかみられない。
もう一つの新商品は、半構造および構造用EVパワートレイン用途の新しいPAベースコンパウンド「Celanyl PA B3 GF30 E」。150℃で3000時間エージングした後でも、HB難燃グレードとCTI 600を達成している。ハロゲン化物の含有量が極めて低いため、コネクター、スイッチ、リレー、バスバー、センサーなど、電圧印加時に誤作動やショートを起こす可能性のある用途に適している。
誤作動は、表面の水分、温度上昇、および塩素/臭素/ヨウ素などの電解腐食につながるハロゲン化物イオンの痕跡という三つの要因によってしばしば起こり、この素材はメーカーがこれらの性能上の課題を克服するのに役立つ。
「Frianyl PA Wシリーズ」と「Celanyl PA B3 GF30 E」は、すでに世界中で市販されている。