Thursday, November 30, 2023 5:53 AM
トヨタの全固体電池、30年の量産化は限定的に
トヨタは、電気自動車(EV)の航続距離を延ばす次世代電池として期待される「全固体電池」の量産に向け動き出しているが、同社はこのほど、商用の初回生産は数千台分にとどまる可能性が高く、2030年に開始予定の量産もせいぜい1万台強になるとの見通しを示した。
オートモーティブ・ニュースによると、この数字はトヨタの社内媒体「トヨタ・タイムズ」の投稿で紹介された。全固体電池は、将来性は高いが初期の市場への影響は限定的となる見込みだ。
トヨタは10月、出光興産と組んで全固体電池を開発し、27〜28年に実用化、30年以降の本格的な量産を目指すと発表した。トヨタ・タイムズによると、出光は大容量と高出力を可能にする硫化物系固体電解質の開発を進め、27年度には大規模なパイロットプラントを稼働させる予定で、当初の年間生産能力は数百トンだが、30年には数千トンに引き上げ、量産を開始する計画。これはEV1万台分以上に相当し、トヨタの生産計画に沿った内容だという。
全固体電池は、実現すればより小型・軽量なパッケージで航続距離を大きく延ばせるため、EVの可能性を最大限引き出すのに不可欠と考えられている。この電池は、電解質が液体ではなくセラミック状で、現在の液体電解質リチウムイオン電池に比べてエネルギー密度が非常に高く、充電速度も速い上、より安全で特にスポーツ車や大型SUVに有効と考えられている。
トヨタは、30年に世界で350万台のEVを販売するという目標を掲げ、全固体電池は目標達成への貢献が期待されているが、同じ品質で大規模に生産するための課題は残っている。トヨタは愛知県豊田市の貞宝(ていほう)工場で先進的な電池技術の開発を進めており、10月に報道関係者を招いてその取り組みを披露した。
同社は2種類の全固体電池を提供する計画で、最初の電池は27〜28年ごろに提供し、航続距離は621マイル超、約10分で10〜80%の充電ができると見ている。その後で出す(時期は未定)二つ目の電池は航続距離745マイル超を実現できる見通し。
出光は01年から全固体電池の基礎研究に取り組み、トヨタは06年から独自の研究開発を開始しており、両社は13年に硫化物系固体電解質の共同研究を始めた。