Monday, January 22, 2024 6:35 AM

ABB、セブンセンスを買収〜産業ロボットの機動性向上技術

 スイスの自動化技術大手ABBは、人工知能(AI)と3Dビジョン(三次元視認技術)を使って工場・倉庫向け産業ロボットの機動性を高める技術を開発する同国の新興企業セブンセンス(Sevensense)を買収した。

 ロイターによると、ABBは近年、自律的に移動・作業できる産業ロボット需要の高まりを受けて、ロボット分野への投資を強化している。

 チューリヒを本拠とするセブンセンスは、生産ラインに部品を運ぶ工場ロボットが施設内を移動する時の「目と頭脳」になるセンサーとAIシステムを開発・製造している。

 ABBのロボットおよびディスクリート・オートメーション部門責任者、サミ・アティヤ氏によると、これまでの生産ライン向けロボットは、床に固定された磁気テープに従って動く仕組みで、設置に時間がかかり柔軟性も低かったが、現在は目と頭脳を備えて工場内を隅々まで動き回れるようになっている。

 ABBのロボットはそれぞれカメラを6台搭載し、毎秒1.5メートルの速度で最大2トンの材料を移動させられる。「以前のシステムでは100メートルの生産ラインを変更できず、例えば新しい生産セルを追加する場合などはロボットを迂回させることができなかったが、今は簡単にできる」(アティヤ氏)

 ABBによると、自律移動型ロボットの市場は2026年まで年約20%のペースで成長し、23年の55億ドルから26年には95億ドルに拡大すると予想される。この成長率は、ABBが年間8%の成長を見込む従来の据え置き型ロボットを上回る。

 ABBは産業ロボット分野で日本のファナックやドイツのクーカと競合する。セブンセンスの買収は、21年のASTIモバイル・ロボティクスの買収、23年の米工場の拡張に続く同分野での最新の投資となる。セブンセンスの技術はすでにABBの製品に組み込まれており、フォードはテネシー州の工場向けに300台のロボットを購入したほか、仏タイヤ大手ミシュランなども顧客になっている。