Thursday, January 25, 2024 6:10 AM
OneDとコークモジュラー、EV電池用負極材の生産拡大で提携
新興の電池向け負極材メーカー、ワンディー・バッテリー・サイエンシズ(OneD Battery Sciences、カリフォルニア州)と複合企業コーク・インダストリーズが出資する化学プラント建設会社コーク・モジュラー(Koch Modular、ニュージャージー州)は、年間約100万台分の電気自動車(EV)用電池を供給できる負極材用シリコン・グラファイト(黒鉛)複合材の生産工場を北米に開設するため提携した。
ロイターによると、工場の建設地は近く発表される予定で、総工費は数億ドルになるという。現在、世界の黒鉛の90%以上は中国で精製され、ほぼすべてのEV用電池の負極に使われているが、中国は2023年12月に黒鉛の輸出規制を実施したため、自動車メーカーは中国以外の国からの人造黒鉛調達や、シリコンといった代替材料を採用する動きを強めている。
OneDは、黒鉛のEV電池負極材にシリコン・ナノワイヤーを加えることでEVの航続距離延長、充電時間の短縮および軽量化を目指しており、複合材の使用は手頃な価格のEVを生産したい自動車メーカーにとってもコスト削減につながると考えている。大手メーカーのGMは、OneDの出資者で顧客でもある。
OneDのビンセント・プルビナージュCEOによると、同社は欧州でも同様の工場を建設する交渉を進めているという。
今回の提携では、シリコンから不純物を除去するためのシランガス(水素化ケイ素)工場をコーク・モジュラーが設計・建設し、そこでOneDが負極用のシリコン黒鉛複合材を製造する予定。
コーク・モジュラーのジョージ・シュロウスキー社長によると、過去10年間はポリシリコン(高純度シリコン)市場に中国のサプライヤーが殺到して安値で供給したため、米国での新規生産は経済的に不利だったが、インフレ抑制法による連邦政府の後押しとEVのサプライチェーン(供給網)拡大を目指す欧州の動きによって、米国でのシラン工場建設が現実的な選択肢になっているという。