Wednesday, October 01, 2025 7:20 AM
インテル・エヌビディア提携、アジア半導体メーカーは期待と不安
半導体大手エヌビディアがこのほど、業績不振に苦しむインテルに50億ドルを出資すると発表した。人工知能(AI)向け半導体で世界を主導する技術力を活用し、インテルの競争力を強化するのが目的だが、台湾積体電路製造(TSMC)などアジアの半導体メーカーにとって、両社の提携は喜ばしい半面、残念でもある動きだ。インテルが復活すれば、海外の同業に対する米政府の監視は弱まるかもしれないが、長期的には市場競争が激化する可能性がある。
◇短期的には望ましい?
ロイターによると、エヌビディアは出資によってインテル株を約4%保有する大株主となり、両社はパソコンおよびデータセンター向けチップを共同開発することで合意している。この結果インテルは、苦戦しているAI分野での巻き返しや、製造能力の強化を実現できる可能性がある。
一部のアナリストは、米企業が提供するAI半導体の圧倒的多数を受託生産しているTSMCにとっては、これは望ましい状況だと指摘する。もしインテルが市場から完全に脱落すれば、TSMCはさらにシェアを拡大して米国の半導体製造の90%を受け持つことになり、米国での生産を要求する米政府からの圧力が強まるが、インテルが生き残れば米政府はインテルを支援するという目標ができてTSMCへの圧力が緩み、その分TSMCは自社のペースで動きやすくなるからだ。
受託製造を専門とするTSMCや韓国サムスン電子といったアジアの半導体大手は、トランプ政権から「米国内で製造するか、輸入チップへの厳しい処罰を受けるか」の選択を迫られ、米国で数十億ドル規模を投資して工場を建設している。ただし、その結果半導体を設計する米国の企業は彼らへの依存度をさらに高め、外国企業が一層政府の目を引くことになる可能性もある。