Thursday, May 21, 2026 7:22 AM

車両データ販売への期待、急速に後退〜薄利や規制強化で

 自動車業界では、ソフトウェア定義車両(SDV)の普及とともに車両データの販売が新しい収入源になるとみられていたが、規制の壁や消費者からの反発、期待外れのリターンといった理由から期待は急速にしぼんでいるという調査結果を、英オムディアが発表した。オートモーティブ・ニュースが伝えた。

 オムディアの「2026年SDV調査」は、米、カナダ、英、独、仏、日、中の業界関係者559人を対象に実施され、前年には業界の最優先データ戦略だった「車両データの収益化」は7ポイント低下して2位に後退し、「先進運転支援システム(ADAS)や自動運転の改善」が最優先事項になった。また、製品開発や車両診断分野がより大きな価値をもたらしており、データを製品開発や診断、車両の性能改善に活用する方向へと重点が移っている。

 近年は世界的にデータ保護規制が強化されている。欧州の一般データ保護規則(GDPR)では、自動車メーカーが収集できるのは必要なデータのみで、ドライバー、乗客、その他の道路利用者からのデータ収集には正当な理由が求められる。2025年施行の欧州連合(EU)データ法では、どの第三者にデータアクセスを認めるかに関するユーザーの決定権が保障されている。

 米国でも、連邦取引委員会(FTC)が1月、GMと同社のオンスター部門にドライバーデータの販売を5年間禁止した。データがブローカーや保険会社に販売された結果、一部消費者の保険料が上昇したためで、カリフォルニア州やテキサス州なども、自動車メーカーや保険関連企業に対する取り締まりを進めている。

 またGMは、加州検察当局との1275万ドルの和解の一部として、顧客車両から収集した走行データを消費者信用調査機関に販売することも5年間禁止された。

 一方で、データ販売による実際の利益は小さく、民主党上院議員2人が行った調査によれば、ホンダが2020〜24年にドライバーデータの販売によって得たのは1台当たり26セント。現代でも2018〜24年に1台当たり61セントにとどまった。

 このため業界は、データをADAS性能向上や予知保全に活用し、顧客満足度やアフターサービス収益を高める方向にシフトしている。オムディア調査でも「予知保全が最も顧客愛着度の向上につながる」との見方が多かった。