Tuesday, July 12, 2016 10:36 AM

安倍路線加速へ国債増発 首相、月内の経済対策指示

 安倍晋三首相は12日、石原伸晃経済再生担当相と麻生太郎財務相を官邸に呼び、経済対策の月内策定を指示した。経済政策「アベノミクス」が参院選で信任を得たと判断、路線を加速するため積極的な財政出動に踏み切る。1億総活躍プランの施策や公共事業を柱に据えて内需の下支えを目指す。石原氏は建設国債を追加発行して財源不足を補うことを容認する考えを表明。財政悪化への懸念が強まりそうだ。

 英国の欧州連合(EU)離脱問題など海外経済は不安を抱える。日本もデフレ脱却が遠く、政府は2016年度の実質経済成長率見通しを0.9%と従来予想のほぼ半分に引き下げる方針だ。首相は「デフレから完全に脱却し、成長していく道筋をつけなければならない」と強調。1億総活躍の加速、農林水産物の輸出拠点をはじめとしたインフラ整備、中小企業の資金繰り支援、防災対応の強化という4項目に取り組む考えを示した。

 国が民間に低利で資金を貸し出す「財政投融資」も積極的に活用し、リニア中央新幹線の整備計画を前倒しする。融資なども含めた対策の事業規模は10兆円を超える見通し。政府は対策を盛り込んだ16年度第2次補正予算案を編成し、秋の臨時国会に提出する。年度途中での国債増発は、第2次安倍政権の発足直後に編成した12年度補正予算以来となる。(共同)