Tuesday, July 12, 2016 10:37 AM

南シナ海、中国の主権否定 初の国際司法判断

 南シナ海のほぼ全域で中国が主張する主権や権益は国際法に反するとしてフィリピンが求めた仲裁手続きについて、国連海洋法条約に基づく仲裁裁判所は12日、中国が独自に引いた境界線「九段線」で囲った海域に歴史的権利があるとの中国の主張は「法的根拠がない」と判断した。南シナ海問題で国際的な司法判断が下されるのは初めてで、中国の主張は全面的に退けられた。

 九段線を根拠に海洋進出を強める中国は仲裁判断の受け入れを拒否して激しく反発、習近平国家主席は「中国はいかなる主張も動きも受け入れない」と強調した。中国に批判的な国際世論がさらに高まり、南シナ海情勢が緊迫するのは必至だ。

 不服申し立てはできず、仲裁判断は確定した。法的拘束力があり当事国は結論に従う義務があるが、強制力や罰則規定はない。国連安全保障理事会常任理事国の中国が国際司法機関の判断を無視する状況が続けば、国際法に基づいた海洋秩序が危機にひんするとの懸念も出ている。(共同)