Wednesday, March 22, 2017 10:26 AM

アスピリンより抗凝血剤に効果〜血栓の再発防止で最新調査

 血栓の再発リスクを抑えるには、アスピリンより抗血液凝固薬の長期服用の方がはるかに効果的であるという調査結果を、カナダ・オタワ大学の研究者らが発表した。

 ウォールストリート・ジャーナルによると、約30カ国の患者3365人(年齢の中央値59〜60歳)を対象に1年間調査した結果、アスピリンを服用するより抗凝血剤リバーロキサバン(rivaroxaban、一般名)を少量服用した方が、血栓の再発リスクが約70%低かった。血栓の再発率は、毎日20mgのリバーロキサバンを服用した患者で1.5%、10mg服用の患者で1.2%だったのに対し、アスピリンを服用した患者は4.4%だったという。出血した患者数はどのグループも大差がなかった。

 研究論文はアメリカン・カレッジ・オブ・カーディオロジーの年次総会で発表され、医学誌ニューイングランド・ジャーナル・オブ・メディスンに掲載された。

 オタワ大学のフィリップ・ウェルズ医学部長は「この結果は、アスピリンの使用はあまり意味がないのでやめるべきということを示している。出血リスクは同じだが、明らかにリバーロキサバンの方が効き目がある。これが多くの患者にとって低リスクの治療法であるということを医師に知ってもらいたい」と語った。

 厚生省疾病対策センター(CDC)によると、米国では毎年90万人が血栓の影響を受けている。現在、長期的な治療が必要な患者のうち半数以上は治療を受けておらず、約10〜15%はアスピリンを服用している。過去の研究では、アスピリンはプラシーボ(偽薬)より30%以上効果的という結果が出ている。

 リバロキサバンは、J&J傘下ジャンセン・ファーマシューティカルズが「イグザレルト(Xarelto)」のブランド名で販売しており、イグザレルトの定価は現在10mg、15mg、20mgいずれも1錠当たり12.93ドル。この薬を開発したバイエルは、今回の調査に資金を提供した。