Tuesday, March 13, 2018 11:22 AM

輸入制限なら貨物量は減少〜米主要港、懸念強める

 米国の主要港湾関係者は、鉄鋼やアルミニウムの輸入制限が適用された場合、それらの原材料に依存する産業への影響は大きく、港を通過する貨物の流れが広範囲で抑制されると懸念している。

 ウォールストリート・ジャーナルによると、サウスカロライナ州港湾公社のジム・ニューサムCEOは、南東部の自動車メーカーやサプライヤーが部品の輸入や完成品の輸出でチャールストン港に大きく依存していることを指摘しながら「輸入制限は自動車メーカーに打撃を与える可能性がある。国際貿易はわが国にとって大きな恩恵であり、それを減速させるものは何であれ良くない」とはなす。

 各地の港湾公社は、貿易相手国による報復関税の可能性も心配している。ワシントン州のシアトルとタコマ港でつくるノースウェスト・シーポート・アライアンス(NWSA)のドン・メイヤー代表は「雇用の40%が国際貿易とつながっている州にとって、重要な貿易パートナーへの一律関税は雇用と生活の質にリスクをもたらし、報復の可能性につながる」と話している。NWSAは16年、68億ドル以上の農作物と森林商品の輸出を取り扱った。

 また、全米小売業協会(NRF)で供給網と関税政策を担当するジョナサン・ゴールド副社長は、輸入制限はすぐに消費者物価に影響し、税制改革の利点を相殺すると見ており、「長期的には、貨物取扱量とそれに依存する港湾労働者からサプライチェーンに至るすべての雇用を失う」と警告している。

 一方、イリノイ州の物流会社シーコ・ロジスティクス(SEKO Logistics)は、連邦政府の厳しい姿勢にも関わらずメキシコの事業を拡大する方針だ。ジェイムズ・ガニエCEOは「輸入制限や貿易障壁の対応方法は何とか考える。特にメキシコ、カナダ、米国は相互の経済依存性や結合性が強いため、政府が支持者のためにそれを切り離そうとしても極めて難しいだろう」と話し、北米自由貿易協定(NAFTA)の再交渉の遅れも心配していないという。