Tuesday, July 29, 2025 7:18 AM
アイオニックMT、2900万ドル調達〜先進電池材料の国内生産を加速
電池の負極用ナノシリコンパウダーを製造するアイオニック・ミネラル・テクノロジーズ(アイオニックMT、ユタ州)は、シリーズB資金調達ラウンドで2900万ドルを調達した。当初の目標だった2500万ドルを上回った
ビジネスワイヤーによると、アイオニックMTはこの資金で、ユタ州プロボにある施設(7万4000平方フィート)の生産能力を拡大し、二つの高性能電池材料の生産を加速させる。一つは同社が特許を持つシリコン微粒子「Ionisil(アイオナイシル)」で、次世代EVや軍事用電池向けのナノシリコン負極材。もう一つは高純度アルミナ「IonAl(アイオンエーアイ)」で、電池のセパレーター(絶縁膜)や高性能セラミックスに使われる。
同社はユタ州の自社鉱区(Halloysite Hills & Silicon Ridge)から独自の高純度ハロイサイト粘土を調達し、独自の低炭素工程で自社処理する垂直統合型モデルを導入。これにより資本効率を高め、外国のサプライチェーン(供給網)への依存を軽減しつつ、米国の産業・国家安全保障政策とも整合する生産体制を構築している。
創業者のアンドレ・ザイトゥーンCEOによると、今回の資金調達の成功はアイオニックMTの商業化に向けた重要な節目で、今後は製品の大量生産、ティア1顧客との製品認証、商業収益化に向けた体制強化を進める。
Ionisilについては、独自のサイラン不使用マグネシウム還元法を用い、年間1000トンの生産体制を構築。1グラム当たり2500ミリアンペア時(mAh/g)超のエネルギー密度を実現し、シリコン負極材分野での低コスト競争力を確保する。
IonAlについては、年間5000トンの生産体制を確立し、2026年の商業出荷と黒字化を実現して、輸入に依存するアルミナの国産代替供給源となることを目指す。