Wednesday, June 13, 2018 11:30 AM

人権問題置き去り懸念 米大統領の正恩氏厚遇

 トランプ大統領は12日のシンガポールでの米朝首脳会談で、北朝鮮の金正恩朝鮮労働党委員長と固い握手を交わし、有能な指導者だと持ち上げた。昨年2月に隣国マレーシアで起きた異母兄の正男氏殺害を命じたとされ、国際的非難を浴びた正恩氏は満面の笑み。融和ムードで人権問題が置き去りになる懸念がある。

 トランプ氏は、メディアのインタビューで「会談の9割は非核化について話し合った」と語った。日本人拉致問題も提起したとしているが、人権問題に多くの時間を割かなかったのは明らかだ。

 正男氏殺害事件をきっかけに北朝鮮との関係が悪化したマレーシアでは新聞各紙が1面に会談の写真を掲載。事件を振り返る批判的な報道は見られない。5月の選挙で返り咲いたマハティール首相も6月11日、「こういうことで他国を糾弾していたら、世界のほとんどの国と仲良くできない」として、事件を重視しない考えを表明。米国と対話を進める北朝鮮の姿勢を評価した。(共同)