Thursday, July 05, 2018 11:01 AM

不妊手術5000人の記名資料 ほぼ強制、現存3割のみ

 旧優生保護法(1948〜96年)下で不妊手術を施されたとみられる個人名が記載された資料が、32都道府県に5090人分現存していることが5日、共同通信の全国調査で確認された。ほとんどは本人同意のない強制手術に関する資料とされ、確認されている強制手術全体(1万6475人)の3割にとどまる。記名資料は、被害を裏付ける貴重な証拠となり得ることから自治体側には積極開示が求められる。一方、資料がない人の救済に向けた国や自治体の対応も問われそうだ。

 旧法が母体保護法に改正されて20年以上が経過する現在まで、国は記名資料の現存状況を把握しておらず、厚生労働省は全国調査を実施して取りまとめを進めている。一方、自民、公明両党の合同ワーキングチームは、仙台地裁などでの国家賠償請求訴訟の判決を待たずに救済に乗り出す方針。具体的な補償の在り方を協議し、対象範囲を検討する際、記名資料の現存状況をどう反映させるか注目される。

 共同通信は昨年12月〜今年1月の調査で、19道県に2707人分(同意手術も含む)の記名資料の現存を確認。被害者による国賠訴訟が相次ぐ中、厚労省は3月に関係資料の保全を自治体に依頼した。それを受けて、今回は全都道府県に6月末までの現存状況を文書で改めて聞いた。(共同)