Wednesday, October 03, 2018 10:42 AM

進化の仕組みまねて創薬 米英3氏にノーベル化学賞

 スウェーデンの王立科学アカデミーは3日、2018年のノーベル化学賞をカリフォルニア工科大のフランシス・アーノルド教授(62)、ミズーリ大のジョージ・スミス名誉教授(77)、英医学研究会議(MRC)のグレゴリー・ウインター博士(67)の3氏に授与すると発表した。生物の進化の仕組みをまねてタンパク質を作るなどし、医薬品やバイオ燃料の製造技術を開発したことが評価された。

 アーノルド氏は1993年に「指向性進化法」と呼ばれる、特定の機能を持つタンパク質「酵素」を新たに生み出す方法を開発。細菌を強制的に突然変異させて、大量にできた中から目的に合った酵素を作るものを選び出す。進化の一部を人為的に起こすやり方で、糖尿病などの医薬品やバイオ燃料を作るのに役立つ酵素の製造につながった。

 スミス氏は85年、免疫反応を起こす「抗体」の遺伝子をファージというウイルスに入れ、新たにできた抗体から優れたものを選ぶ「ファージディスプレー」という手法を編み出した。ウインター氏はこの手法を用いて新薬の探索を効率化し、90年代に関節リウマチ治療薬「ヒュミラ」を開発。その後、広く使われるようになった。(共同)