Monday, March 18, 2019 10:06 AM

米露協調破綻、新冷戦に クリミア編入から5年

 ロシアが米欧の批判を浴びながらウクライナ南部クリミア半島の編入を強行してから18日で5年。ソ連末期の1980年代から続いていた米国と西欧、ロシアの協調体制は完全に破綻した。相互不信の中で「新冷戦」が拡大し、軍拡競争が深刻化している。ロシアでは「協調は国益を犠牲にした」として、クリミア編入を「正しい一歩」と評価する声が圧倒的だ。

 中距離核戦力(INF)廃棄条約の破棄などによって米露が築いた軍縮・軍備管理体制は崩壊、両国は新型兵器の開発競争に向かいつつある。こうした状況を受け、ロシアは日米同盟への懸念を強め、北方領土問題の解決を目指す日本の対ロシア交渉にも影を落としている。

 クリミア編入後、ロシアは主要国(G8)の枠組みから追放され、米欧主導の経済制裁を科されている。だが、ロシア国内でプーチン大統領の決断を批判する声はほぼ皆無だ。ゴルバチョフ・ソ連大統領(当時)が始め、エリツィン・ロシア大統領(当時)が引き継いだ米欧との協調路線が「ロシアの伝統的な利益圏」への北大西洋条約機構(NATO)拡大を許したとの認識が支配的だからだ。(共同)