Wednesday, May 15, 2019 9:36 AM

顔認証技術の利用禁止か〜SF市で条例案可決

 サンフランシスコ市管理委員会(市議会に相当)は14日、市職員による顔認識技術の購入または使用を禁じる条例案を賛成8票、反対1票で可決した。地元のシリコンバレー企業が開発を手助けした技術を規制する動きとなった。

 ロイター通信によると、来週、同じ管理委員による2回目の採決が行われ、その結果で条例案の可否が最終決定する。米国内では、政府機関が長年使用し、最近はクラウド・コンピューティングや人工知能(AI)によって機能が強化されている顔認識技術への不満が高まっており、サンフランシスコはこうした姿勢を明確に示したことになる。

 管理委員の1人で条例案を支持するアーロン・ペスキン氏は採決前、「私たちには乱用の可能性から市民を守るという基本的な義務がある」と述べた。ただし、条例案はテクノロジーの否定ではなく、防犯カメラなどの監視ツールを使い続けることは可能で、警察や検察が例外的な利用を求めることも可能。ペスキン氏が重視するのは、むしろこのテクノロジーによって傷つく恐れのある「見過ごされたグループ」を保護することだという。

 例えばアマゾンは昨年から、警察に画像分析と人物特定サービスを提供しているが、肌の色が濃い人々の性別を認識する精度が低いという指摘が研究者から出ており、不当逮捕につながる恐れが浮上している。

 顔認識サービスを販売するマイクロソフトを含む企業や公民権団体はここ数カ月、技術の規制を要求している。これがサンフランシスコの動きに勢いを与え、近隣のオークランド市でも同じ動きが生まれている。

 一方、空港の入国検査などでは顔認識技術の活用が広まっている。情報技術イノベーション財団(ITIF)のダニエル・カストロ氏は、連邦政府が中国のように顔認識を大規模な監視に利用するといった懸念は行き過ぎだと指摘しながら「顔認識の禁止はサンフランシスコを古い技術の時代に閉じ込めることになる」と述べた。