Monday, June 17, 2019 10:22 AM

老後、何千万円必要? 専門家「まず自己分析を」

 95歳まで生きるには、公的年金以外に夫婦で2000万円の備えが必要とした金融庁金融審議会の報告書が波紋を広げている。政府は報告書受け取りを拒否したが、年金以外に老後に必要な資金はどの程度になるのか、国民の不安は置き去りにされたままだ。専門家は「個々の生活水準を分析し、可能な生活や望む生活を見極め、働くことも選択肢として準備することが大事だ」と話す。

 報告書では総務省の2017年家計調査を基に、夫65歳以上で妻60歳以上の無職夫婦世帯で、月々の年金などの収入は20万9198円、支出は26万3718円で、月約5万5000円の「赤字」が生じると試算した。30年続くと2000万円近くになる計算だ。

 収支は「平均的な姿」として示されたが、食料費は約6万4000円とゆとりがある一方、住居費は約1万4000円とわずか。教育費も15円とほぼゼロで、ニッセイ基礎研究所の高岡和佳子主任研究員は、2000万円は各費目の平均額の積算に過ぎないとして「老後も賃貸住宅に住んだり、退職後も子どもの教育費が必要になったりする場合は膨らむ可能性が高い」と語る。(共同)