Thursday, August 29, 2019 10:35 AM

世界初、iPS角膜移植 大阪大、40代女性視力改善

 大阪大の西田幸二教授(眼科学)のチームは29日、人工多能性幹細胞(iPS細胞)から作製したシート状の角膜組織を、重度の疾患でほとんど目が見えない40代の女性患者に移植する世界初の臨床研究を7月に実施したと発表した。チームによると、視力は眼鏡などを使えば日常生活に支障のない程度に改善し、拒絶反応などの問題は起きていないという。

 角膜疾患は、亡くなった人からの提供角膜による治療が一般的だが、提供を待つ患者は全国で約1600人に上る。慢性的に不足しており、今回の手法を5年後をめどに実用化し、補完的な治療法にしたいとしている。

 角膜は眼球の最も外側にあって異物の侵入を防ぎレンズの役割を果たす直径約11ミリ、厚さ約0.5ミリの透明な膜で、移植を受けた女性は、角膜のもとになる細胞が失われて視力が低下し失明することもある「角膜上皮幹細胞疲弊症」。(共同)