Friday, September 06, 2019 6:25 AM

セント・ルイス、IoTで防災強化を図る

 ミズーリ州セント・ルイスは、モノのインターネット(IoT=Internet of Things)を使った防災システムの試験運用制度を立ち上げた。同市はそれによって、自然災害が発生した際に被害を最小限にとどめ、復旧や支援に迅速に対応できるようにする計画だ。

 エンバイロメンタル・リーダー誌によると、試験運用では、米国土安全保障省(Department of Homeland Security=DHS)傘下の科学技術局(Science and Technology Directorate=S&T)が開発したプラットフォーム「スマート都市相互運用性参照設計(Smart City Interoperability Reference Architecture=SCIRA)」を採用する。

 SCIRAは、一般的な標準規格を使って商業用IoT検知器をさまざまの地方行政サービスに統合するためのプラットフォーム。

 セント・ルイスはその手始めに、市街中心部にある技術革新センターセンター「T-REX」を拠点に、市内の洪水対策および水管理に試験運用制度を適用し、最適かつ最善の避難経路を市民に通知できるようにする。それらの機能には、一般的な設計用ツールが使われていることから、ほかの都市でもSCIRAを簡単に活用できる。

 セント・ルイスの試験運用制度は2019年12月まで実施され、その後、試験運用の成果や効果を評価して、正式に導入するかどうか最終決定がくだされる予定。

 米国の各都市では近年、先進技術やスマート技術を活用することで公共安全性を高める動きが強まっている。技術の進化や低価格化、無線通信技術の浸透がその背景にある。

 その一方で、新技術が各都市や自治体のあいだで円滑に機能し、それぞれの管轄権限(行政権、警察権、司法権)のもとで問題なく運用できるかどうかという課題もある。技術の互換性に限界があるためだ。

 そうしたなか、SCIRAのようなプラットフォームは、各地域での相互運用性を可能にする設計であることから、これからますます重要になるとみられる。したがって、セント・ルイスのこころみはその試金石になるといえる。

https://www.environmentalleader.com/2019/09/180641/