Thursday, October 10, 2019 10:20 AM

放鳥のライチョウ22キロ移動 ケージ保護後、異例長距離

 南アルプス北部で2017年にふ化直後にケージで保護し放したニホンライチョウが、放鳥地点から約22キロ離れた場所で今年8月に見つかったことが10日、環境省信越自然環境事務所(長野市)への取材で分かった。事務所によると、15年から実施した同様の保護活動の中で、これだけの長距離移動の確認は初めて。別の個体で18年に約11キロの移動を確認したが、今回は大きく上回った。一般的な移動距離は数キロ程度という。11日にも公表する見通し。

 ニホンライチョウは国の特別天然記念物で絶滅危惧種。事務所は「遠くに飛んでいけば、そこでの繁殖が期待できる。5年間の保護活動の意義も裏付けられた」とする。ライチョウはあまり移動せず、ふ化した場所近くで一生を送るのが通常とされる。この保護活動以外では、南アで16年に野生の雌が約38キロ動いたことが確認されるなどしたが、長距離移動の判明例は少ないという。

 保護活動は南ア北部で実施。ふ化直後のひなをケージで囲い、飛べるようになった約1カ月後に放鳥する取り組みだ。15〜19年に計約70羽を放し、うち約40羽に個体識別の足輪を付けた。今年8月24日、同省職員らが南アで調査した際、足輪のある雌1羽を発見し、約22キロの移動が分かった。(共同)