Thursday, October 24, 2019 10:31 AM

水害避難計画45%止まり 災害弱者施設、罰則なく

 川の氾濫で浸水する恐れがある福祉施設や病院などの「要配慮者利用施設」のうち、利用者の避難計画を作成済みなのは、台風19号で災害救助法が適用された14都県では45.6%(3月末時点)にとどまることが24日、国土交通省のまとめで分かった。全国では35.7%とさらに低い。計画作成は水防法で義務付けられているが、未作成でも施設に対し罰則などの強制力がないことが低迷の背景にあるとみられる。

 避難計画は、災害時に手助けが必要となる高齢者や障害者、子どもなど「災害弱者」の安全を確保する目的。市町村が指定した浸水想定区域の特別養護老人ホームなどが対象で、施設側が具体的な避難方法を定める。台風19号では施設で命を落としたケースは確認されていないが、計画がないまま浸水した施設も多く、対策が急務だ。

 災害救助法は岩手、福島など14都県391市区町村に適用された。14都県で最も作成率が高いのは静岡の78.0%で、岩手の63.3%、栃木と群馬の57.2%が続いた。静岡県の担当者は「南海トラフ巨大地震に備えた対策が進み、水害に意識の切り替えがしやすい」と分析。県職員が施設や市町に直接、計画の重要性や作成方法を説明する工夫もしている。(共同)