Tuesday, November 12, 2019 9:46 AM

施設攻撃、リスク浮上 上場計画のサウジ石油

 【ロンドン共同】サウジアラビア国内で来月にも新規株式公開(IPO)を計画する国営石油サウジアラムコに、テロや武力紛争による業績悪化リスクが浮上している。9月に石油施設が攻撃を受けたためだ。新規上場しても株価が期待通り上がらず、企業価値が目標の2兆ドル(約218兆円)を大きく下回る可能性がある。

 アラムコが9日公表した上場に関する目論見書によると、2019年7〜9月期の純利益は前年同期比約30%減の212億7700万ドルだった。サウジ東部アブカイクの石油施設などが攻撃を受けて生産が低下。原油安も重しになった。アラムコはテロや武力紛争などが「企業や株価に対して、著しくまた不利に影響する可能性がある」と注意喚起した。

 サウジ政府は国内の証券取引所に1〜3%の株式を上場する計画とされる。事実上の最高権力者ムハンマド皇太子は企業価値2兆ドルを目指している。だが、市場関係者は1兆5000億ドル前後になる公算が大きいと指摘し、皇太子の意向と開きがある。地球温暖化問題が原油需要の減退を招き、石油企業の経営を圧迫する懸念も残る。