Thursday, November 14, 2019 9:35 AM
スポーツ界にまた薬物疑惑 米陸上コーチ、チーム閉鎖
【ジュネーブ共同】東京五輪を来年に控えるスポーツ界に、新たなドーピング問題が浮上した。ロシアの国ぐるみの不正に続き、今度はスポーツ用品大手ナイキが運営した陸上チーム「ナイキ・オレゴンプロジェクト」がコーチらの違反行為で閉鎖に追い込まれた。マラソン男子日本記録保持者の大迫傑(ナイキ)ら元所属選手の調査に、世界反ドーピング機関(WADA)が乗り出した。
衝撃の発表があったのは9月末。2012年ロンドン、16年リオデジャネイロ両五輪で男子5000メートル、1万メートル2冠のモハメド・ファラー(英国)ら多くのトップ選手を指導した有名コーチ、アルベルト・サラザール氏(米国)に対し、米国反ドーピング機関(USADA)が4年間の資格停止処分を科した。テストステロンの不正売買やドーピング検査プロセスの改ざん、許容量を超える投薬など複数の違反が認定された。
大迫は自身のツイッターで「僕はコーチに訳の分からない薬や注射をしろと言われたことはない」と疑惑を完全否定している。一方で、ヘッドコーチだったサラザール氏には逆風が吹く。かつて指導を受けた女子選手のメアリー・ケイン(米国)が、ニューヨーク・タイムズ紙で「精神的にも肉体的にも虐げられた」と告白。勝利至上主義に基づく過剰な減量を迫られた結果、生理が止まり、5カ所の骨折に苦しんだと訴えた。