Tuesday, December 10, 2019 9:34 AM

WTO紛争処理、暗礁に 「裁判官」1人、審議不能

 各国間の貿易紛争を解決するために設けられた世界貿易機関(WTO)の紛争処理手続きが、暗礁に乗り上げた。裁判の「最終審」に相当する上級委員会で裁判官役を務める委員の補充がなされず、11日以降は1人だけとなり審議不能に。1995年1月1日の発足から25年を目前にして、WTOは存在意義を問われる事態に陥った。

 トランプ政権は上級委がWTO協定を解釈して新たなルールを策定するなど「越権行為」が許容できないとして、2017年8月から委員補充に反対し続けている。WTOは全会一致が原則のため、この間、定員7人の上級委メンバーは減り続けた。

 委員2人の任期切れを控えた9日、ジュネーブのWTO本部で開かれた一般理事会でも、米国のシェイ大使が歩み寄る気配はなかった。これに対し、欧州連合(EU)のアギアルマシャド大使は「たった1カ国の行動が、他の加盟国の権利を剥奪している」と、米国を批判した。(共同)