Monday, December 23, 2019 9:10 AM

ロシアのパイプライン稼働遅れ 米制裁で、新たな火種に

 【ワシントン、モスクワ共同】ロシア産天然ガスをドイツへ直送する2本目の海底パイプライン「ノルドストリーム2」の稼働時期が、当初見込みの来年半ばから遅れる可能性が出てきた。米国が20日、同パイプラインに関する対ロシア制裁を決めたためで、ロシアは反発。米露間の新たな火種となりそうだ。

 米国の制裁はトランプ大統領が20日に署名して成立した国防権限法に盛り込まれた。パイプライン建設に関わる船や関係者を特定し、資産を凍結するとした条項が含まれている。トランプ政権には、欧州のロシアへのエネルギー依存が深まり、安全保障上の脅威になるとの懸念がある。米国産ガスの欧州向け輸出を拡大したい思惑もある。

 パイプラインは全長約1200キロで、2011年に稼働した1本目と同等の輸送力。バルト海の海底を結び、ロシア政府系企業や欧州の多国籍企業が建設している。国防権限法成立を受け、工事を担うスイス拠点の企業オールシーズは21日「パイプライン敷設作業を停止した」と発表した。