Wednesday, January 08, 2020 9:48 AM

核合意離脱、対立の原点 トランプ氏に政策矛盾

 イランによるイラク駐留米軍へのミサイル攻撃に発展した対立激化は、トランプ大統領の一方的なイラン核合意離脱が原点にある。11月に大統領選を控えるトランプ氏は、野党民主党のオバマ前政権の政策をことごとく否定することに存在意義を見いだしてきた。核合意は前政権の成果の一つだ。中東からの米軍撤収を目指す中、結果的に増派を余儀なくされ、深刻な矛盾に直面している。

 2016年大統領選で「反オバマ」を掲げて当選したトランプ氏は「オバマ前大統領の実績は全てひっくり返さないと気が済まない」(米外交専門家)。1979年のイランの米大使館人質事件を背景にした米社会の根強い「嫌イラン感情」をあおり、明確な戦略を欠いたまま2015年に発効した核合意の離脱に踏み切った。

 イランによる報復の直接の原因となった司令官殺害の決断にも、説得力ある説明はない。イランが昨年6月に米軍無人機を撃墜した際、報復を見送り「生ぬるい」と指摘された点を気にした面もありそうだ。

 1980年の大統領選では再選を狙ったカーター氏が人質事件対応を「弱腰」と批判され惨敗した。弾劾訴追された米史上3人目の大統領という屈辱を挽回するため「強い大統領」のイメージを打ち出したい思惑が透けて見える。(共同)